3. 錯視の世界を体験する
錯覚の科学 ('14)
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3-1. 錯視が生み出す不思議な空間
エイムズの部屋(歪んだ部屋):正しい奥行きの手がかりが得られないために大きさの恒常性が働かない。小さな網膜像をそのまま知覚できる。
縦断勾配錯視(坂道錯視):おばけ坂や幽霊坂。周囲の風景から水平を示す手がかりが十分に得られず、目立つ手がかりを参照して誤った傾きを判断するために起こる。
錯視を利用した壁画は古代ローマ時代から。
トロンプ・ルイユ(だまし絵):教会の天井など。
17世紀のバロック期には建築空間そのものに錯覚を組み込んだ。ex. イタリアのスパーダ宮。
日本にも奥行き手がかりによる錯覚を利用した建築物
段葛:鎌倉の若宮大路
日光東照宮の石段
3-2. 再解釈する視覚
反転図形:マッハの本、ネッカーの立方体など。見方の解釈によって見え方が切り替わる。
ホロウマスク錯視:反転図形のお面版。ガードナー会のペーパードラゴンが有名。ドラゴンイリュージョン。
リバースパースペクティブ(逆遠近法):実際の凹凸とは逆の手がかりを表面に描くことであり得ない視覚体験を作る錯覚。
3-3. 様々な錯視図形
幾何学的錯視:図形の模様の大きさや角度が誤って知覚される現象。19世紀から多く見出されてきた。
ミュラー・リアー錯視(ミュラー・リヤー錯視):長さの錯覚。これ→ <—> >—<
フィック錯視(水平垂直錯視):長さの錯覚。垂直方向が水平方向に比べて過大視される視空間の異方性を反映すると考えられる。(横向きでも生じるのでこれだけではない)
エビングハウス錯視:面積の錯覚
シェパード錯視(テーブル錯視):奥行き手がかりが強く働いている。平行四辺形は横向きの方が太く見える。厚みやテーブルの足を書き足し立体という情報を強調すると奥行き手がかりがさらに強くなる。テーブルトップ錯視
角度や方向の錯視
ポッケンドルフ錯視:傾きの錯視。斜めの直線が繋がっていないように見える。
ツェルナー錯視:傾きの錯視。垂直線が傾いて見える。
斜塔錯視:遠近感のある写真を複製して2枚並べると傾きが異なって見える。遠近法的な手がかりを誤解釈することで起こるとされる。
明るさの錯視
明るさの対比:中心の灰色の領域が、白に囲まれると暗く見え、黒に囲まれると明るく見える。知覚される明るさは周囲のコントラストの影響を強く受ける。
アンダーソン錯視:対比図形に連続する模様を加えると、図版が手前と奥に分離し、明るさや色に強い錯視が生じる。
クレイク・オブライエン・コーンスイート錯視:全体の明るさはエッジ部分の変化を手掛かりに判断されるため、面全体に濃淡があるように錯覚される。
図形が動き出して見える錯視:メカニズムは完全に解明されていない。動きを検出するニューロンが縦横方向のエッジによって偏った反応をするためとか、常に微動している眼球と網膜像を適切に働かないためとか
オオウチ・シュピルマン錯視:
フレーザー・ウイルコックス錯視:
抽象芸術への応用もある。エニグマ図形、マッカイ図形、ブリジットライリーのFall
北岡明佳:虹の回転や踊るハート達(踊るハート達は輝度コントラストが高い境界では脳の処理が早いのに対して、低い境界ではやや処理時間がかかる)